4月12日(月)、まだまだ肌寒いパリの早朝、TGV(仏版新幹線)でフランス南部ローヌ地方へと出掛けました。

ローヌワインは、いまでこそラングドック・ルシヨンやプロヴァンスのワインとまとめて「南仏ワイン」と呼ばれることも多いようですが、歴史を辿ればフランスで最も古く葡萄の栽培が始められた地方なのだそうで、その昔はボルドーやブルゴーニュのワインにも負けない高値で取引が行われていたとか。    南北200kmに亘るローヌ川両岸に広がる葡萄畑は気候・土壌の全く異なる南北2つの地域に分けられます。北部は冬は寒く、夏は暑い大陸性気候で、花崗岩質の土壌が多いのに対して、南部は一年中比較的温暖な地中海気候、水はけの良い砂利の混じった土壌が多いのが特徴です。更に扱う品種も異なる両地域からは、当然、バラエティーに富んだワインが産まれることになります。

今回私達が訪れたのは、ローヌ地方北部、主に Appelation Côte Rôtie, Condrieu をメインに活躍する3人の造り手、三者三様、人柄の全く異なる造り手達でした。

SNCF(仏国鉄)のストの影響を受け、予定より2時間遅れで到着するというハプニングに見舞われた私たちに、「災難だったね。」と笑顔で対応してくれたのは、本日一軒目の造り手Ampuisを拠点にCôte Rôtie, Condrieu,そして近年より Saint-Josephを作る Domaine Gerin, Jean-Michel Gerin氏。22歳という若さでワイン作りを始めた氏は現在10種類ほどのラベルを持ち、更に2002年からはフランス以外の土地でもワイン作りを試みたいと、スペイン、Priorat地方でDomaine Trio Infernal を親友Combier氏(Crozes Hermitage), Ficher氏(Aix en Provence)と共に経営しています。

この日も一時間後には車でスペインのDomaineへ南下するのだという氏、忙しい合間を縫ってまずは「コレ」を見ておかないと!・・と、私達をかの有名なローヌ川沿いの急斜面の畑へを案内してくれました。慣れない私達にはまして、まっすぐに立っていることさえままならない斜面には、ピンク色をした芽が出始めていた頃でした。

一本の樹に平均3~4つの芽が出ていましたが、どの樹も上から2つ目までを残して後は取り除けてしまうのだとか。より質の高い葡萄を得るために、春の段階で一度、そしてさらに収穫量を落とす(!)ために行われるvendange verte(摘房)で一度、多くの造り手はこうして葡萄を厳選していきます。

畑のそこここに見られる石を積み重ねた壁は、急斜面の地崩れを防ぐのが主な目的ですが、この壁を作ること自体がまた気の遠くなるような作業であることは想像するまでもなく・・・

カーブに戻って駆け足の試飲の後、スペインへと旅立った氏の印象は「エネルギッシュ」そのもの、果実味豊かなDomaine Gerinのワインは、まさに氏のパワーが詰まったワインなのだと改めて納得。。

そして次に私達が訪れたのはCondrieuを拠点とする, Domaine Mathilde et Yves Gangloff。小川のほとりに立つ田舎家風のカーブは、それだけで訪れるものを彼らの世界に引き込むような魅力に溢れていました。迎えてくれたGangloff夫妻と私たちの足元を離れようとしない2匹の犬と一緒に過ごした樽からの試飲の時間は、その後のサロンでのテーブルを囲んでの時間に引き続き、まるで友人として迎えられたかのような、そんな錯覚に陥るかのような時間でもありました。

そもそもがアルザス、ストラスブール出身のイブ氏がDomaine Delasでの経験を経て、自らもワイン作りを始めたのは20年ほど前のこと、文字通りゼロからのスタートだった氏はいまや押しも押されぬローヌのスター。Côte Rôtie, Condrieuに加え、近年よりSaint-Josephも加わったとは言え、ほんの8へクタールあまりの畑から作られるワインは世界中からの需要もあり常に「完売」の状態。その貴重なストックの中から私達がご相伴に預かった2001年のCôte Rôtie, La Sereine de Noireは今やなかなか手に入らないという意味でも、貴重な、そして忘れがたい一本となりました。

そして、そんなGangloff夫妻の印象は、醸造家というよりも・・どちらかと言えば「芸術家」とでも言うような、優雅で知的なお二人でした。

                              ・・・その2へ続く