『ふたりのオメガネ』

Friday 7 March 2008

ワインブーム@韓国

日本でワインを題材にした漫画が人気になっているのは、ワイン好きでない方でもご存知のはず。かく言う私も、帰国の度に新刊を買い揃える友人たち(1人ではない・・)に借りて、楽しませてもらっている。

世界的なワイン評論家の莫大な遺産(もちろんワイン!)を誰が受け継ぐかをかけて、彼の残した難問を解いていくストーリー。12の問いの答え(こちらももちろんワイン!)が明かされると、そのワインが実際に市場でもブームとなっているようで。私などは到底及ばない、それはそれは詩的で且つドラマチックな表現で語られるワインが、あまりにも美味しそうで、読者が是非一口そのワインを味わってみたいと思うのは当然だろう。そして、日本で入手の難しいものを、ならば本場では・・と思うのもまた当然で、その頁のコピーを手にパリに、そして弊店にいらっしゃるお客様も少なくない。

そしてそのブームが、お隣の国、韓国にも伝わって、今や大変な人気だと聞いたのは昨年だろうか。気が付けば、韓国人のお客様も増え、しかも皆さん既にかなりのワイン通。アジアという共通項があるとは言え、言葉の違う私達だが、大変熱心に私の話を聞いてくださる姿には、いつも大変好感が持てる。

隣り合う国を持たない日本にとって、近隣のアジアであろうが、ヨーロッパであろうがその距離は変わらない様に思う。むしろ今となっては、ヨーロッパの方が近い存在であると言っても良いのではないだろうか。それゆえに、お隣の国と、共通の媒体で共通の楽しみを持てるというのは、悪い話ではないように思う。

さて、大ブームが一息ついてワインが生活に定着し始めると、人々が何を考え始めるか。それはもちろん自分たちの食文化とのマリアージュ(上手な組み合わせ)ではないだろうか?日々の食卓でいかにワインを楽しむか、特別な料理とではなくて、普段の食卓の馴染みのあるメニューとの晩酌。すっかりワインに魅了されてしまった人達が、そう望むのは当然のことであろう。私がこちらで読んだ例の漫画の最新刊(日本には随分遅れていますが・・)では、まさに韓国料理とのマリアージュがテーマになっていたが、さて、果たして香辛料、特に唐辛子を使う量が圧倒的に多い韓国料理とワインの相性は?というのが、課題になっているようだった。

 私が最近懇意にさせて頂いている韓国料理店のオーナー氏は、現在ワインリストを充実させることに大変熱心である。私ども、タイユヴァンのサイトに日本人のソムリエを見つけて、わざわざ私にコンタクトを取ってくださった方で、フランス人よりも日本人(アジア人)の方が、恐らく料理との相性をより的確に分かってくれるだろう・・と、そう思われたのだそうで、これを伺った時には責任重大!と思ったと同時に、大変光栄だと思ったものだった。

実際、レストランに伺ってみて、第一に驚いたのは、確かに辛味が強い料理もあるけれど、決してそれだけではなく、むしろ繊細さが第一の印象に残ったこと。日本料理もそうだけれど、例えば味噌汁とワインは決して相性の良い組み合わせではないと思う。それはフランス料理に置き換えても同様で、スープに合うワインはない・・と断言しているソムリエがいるくらいなのだから、何も無理に味噌汁やスープにワインを合わせなくても良いだろう。

でも一方で、甘味やこくのある日本料理と合うワインは一杯あるし、魚料理も生から焼いたものまで、ワインの相性は決して悪くないはず。

では、韓国料理で言えば、キムチに敢えてワインを合わせる必要はないのではないだろうかと思う。でも、その他のシーンで料理の相性は可能性も様々だと思うし、むしろ自分たちの好きなワインをその時々に楽しみながら、逆に料理を選ぶという手もあるのではないだろうか。

マニュアル通りに選ぶのではなくて、まずは好きなワインがあって、そしておつまみ代わりに料理があるのでもよし、逆に、料理に合わせて最大限の可能性を試してみるのもよし。

オーナー氏曰く、韓国人のお客様は骨格のある濃い目の赤ワインがお好きだそうで、白ワインはまだまだあまり人気がないのだそうだ。ましてや、自然派ワインなんていう定義はまだまだ存在しないのだろうなと想像する。確かに、今のところ弊店にいらっしゃるお客様も、有名シャトーや作り手のワインを探している方が多くて、「お薦めワインを・・」という方にはまだお会いしてないと言っても大袈裟ではない?

日本人がそうやってワインを飲み始めたように、今はまだ漫画やメディアで紹介されるワインを試すことで精一杯なのは、当然。でもいずれ、彼らの選択が、「それ以外」のワインにも及ぶようになったら、その時がまた楽しみでもある。なんだか強力なライヴァルの登場を待つように。。。

Wednesday 3 October 2007

Saumur, ロワールへの小旅行

久々のブログは、9月初めに訪れたロワール地方、「フランスの庭」と言われるSaumurのご案内より。

ご存知の通りロワール地方は「城(Château)」が多いことで有名ですが、その多くは領主やフランス国王が主に別荘として建てたもののようです。一方、豊かな自然にも恵まれるこの土地は、それ故に別荘地としても人気があったのでしょう。

昼食は作り手の持ち寄ってくれたワインを飲みながら。レストランの側で見掛けた修道院・・だろうか。

今回の旅の目的は、例によってワインの作り手を訪ねることでしたので、生憎と「お城巡り」は出来ませんでしたが、その代わりにこの地域ご自慢の自然及び大地に触れてきました。

早朝7時、Montparnasse駅発のTGV(フランスが誇る高速列車で、新幹線を上回る高速記録を持つとか・・)で、1時間余り。更に駅から1時間ほど、今回の旅のオーガナイザー氏の運転で、いよいよ目的地Saumur の街へ。初めて訪れる街はなんともチャーミング! 手入れの行き届いた家々のかわいらしさに、眠気も忘れて気が付けばすっかり魅せられていました。

私達が今回訪れたのはAppelation Saumur 及びSaumur Champignyを持つClos Rougeard, Domaine Guiberteau そしてBourgueil のDomaine du Bel Air (Pierre Gauthier) の3軒。赤は Cabernet Franc、白は Chenin Blanc と、それぞれ単一品種からワインを作る3人の作り手は、それぞれにこだわりを持つ非常に評価の高い作り手たちで、ここに彼らを讃える言葉を並べたらきりがないので、極々シンプルに紹介するに留めようと思います。

Gauthier氏が最近手に入れたという由緒あるこの畑、丁寧に手を掛けてあることが素人の目にも一目瞭然でした。

Cabernet Franc と言うのは、ボルドーでも用いられる品種で、十分に熟した葡萄を収穫してワインと作らないとその青臭さが先行してしまうため、これを「苦手」と言う消費者の方も多いかと思います。しかし彼らのワインはもちろんこれには相当しません。時にブルゴーニュ「ピノ・ノワール」を思わせる繊細な色合いと味わいを見せるもの、果実の凝縮度から甘味と複雑味、そして心地よい余韻を残すもの、渋みだけからくるのではないワインの骨格と風格が感じられます。 

一方、Chenin Blanc は、主にロワール地方で用いられ、Bordeaux に全く引けをとらない甘口ワインを作る品種でもあります。酸やミネラルが印象に残ると同時に、白い花の香りと蜜の余韻。ロワールの白と言えば、Sauvignon Blanc ばかりと思っている方は是非、こちらもお試しあれ。

ヒミツの洞窟のような鬱蒼とした入り口は、ある作り手のカーブの入り口でした。ヒラケゴマ!!

パリからほんの数時間、皆さんにも是非美味しいワインとの出会いがありますように!!

Thursday 10 May 2007

サヴォワ・3つの驚き

先日、かねてから気になっていたワイン産地、サヴォワを訪れた。

ワインの世界において“サヴォワ地方”は、“ジュラ地方”とまとめて語られることが多く、特に日本のワイン好きたちにとっては、その実態がはっきりしない、どこかしらヴェールをかぶったようなところのあるワイン産地であった。

しかし、まさに“百聞は一見に如かず”・・・実際に行ってみると、頭に描いていた“イメージ”というものが、単に“頭の中だけ”のものであったことを思い知らされ、さらにいえば、それがどれだけ間違いを含んでいたのかも浮き彫りにされた。

今回のサヴォワの旅が私にもたらしたものは、まさにそういった、既成のイメージの崩壊であった。

4月といえば例年は、アルプスの山々でまだスキーが楽しめる時期である。実際、標高の高い山々は、春スキーに訪れた人たちが多かったに違いない。しかしそれは、ごく限られた地域であって、それだけがサヴォワの全てではない。

今年はいつになく暑い4月となった。まるで、夏が一足飛びにやってきたかのような日差しに、わずかに閉口してしまうくらいであったのだが、しかしよく考えれば、ワインを作る産地というものはどこも、日当たりのよい、比較的気温の高い場所でもある。サヴォワばかりが例外であるはずもなく、そのことを改めて感じたわけだが、それにしても今年はちょっと例外的である。

とはいえ、“サヴォワ”イコール“寒冷地”といった印象は、一瞬にして吹き飛んだ。確かに連なる山々の上部には雪が白く光っていたが、麓の斜面に広がるブドウ畑は、まぶしい陽光をいっぱいに浴びて、非常に暑かった。

まずはこのギャップが“驚き”の一つで、サヴォワのイメージは一新されたわけだ。

もう一つ、サヴォワの名産物にまつわる“驚き”があった。

サヴォワ地方の郷土料理として知られるももといえば、名産の“ルブローション”をはじめ、各種チーズを使ったものが、まず頭に浮かぶ。 例えば、冬にうれしい名物料理“ラクレット”や“チーズ・フォンデュ”など、雪に覆われた山小屋で食べるような印象がある。それでも、チーズとジャガイモさえあれば手軽に楽しめてしまう“ラクレット”などはパリの家庭でも人気があるようで、専用の家庭用調理器(といっても、それほど凝ったものではないが)は“一家に一台”といえるほど、あちこちの家庭で必需品となっているようだ。   チーズの他には何があるのかというと、やはりどこでも見かけるような“生ハム”などといった、保存のきくものがある。このあたりも、いかにも山の名産といったイメージが強いだろう。

つまりは、サヴォワの名産は基本的に“山のもの”であって、魚などは無縁の世界のように思っていた。だから、今回訪れたレストランのあちこちで“名物の魚料理”といわれたときには、ちょっと戸惑いを隠せなかった。 その答は“湖”にあった。スイスやイタリアに接し、アルプスの恩恵を受けるこのサヴォワ地方は、レマン湖やアヌシー湖など、多くの湖に恵まれている。つまりこの地方でいう“魚料理”とは、いわゆる淡水魚、湖の魚たちである。これもまた、もう一つの“驚き”となった。

今回のサヴォワの旅は、ワインの作り手を訪問するのが大きな目的だったのだが、その土地なりの食事ももちろん楽しみの一つである。こんな場合、その作り手にお薦めの店を聞くと、ほとんど間違いがない。 彼らがそれぞれに薦めてくれたレストランに行ってみると、それはどこも湖畔の店であった。やはり名物は湖の魚。特に“Féra(フェール・コクチマス属の魚)”と呼ばれる、白身でちょっと淡白な味わいの魚は、このアルプスの湖の名産であるという。ムニエルにして、クリーム系のソースをかけたものが主流のようだ。今回訪れた店では、それに付け合せにキノコのソテーとほうれん草のフラン(温かい卵寄せのようなもの)が添えられ、確かにパリのような斬新なスタイルではないが、窓越しに湖の見える絶景とともに、見て楽しく、食べても楽しい・・・そんな昼食を満喫できた。

さて、では第三の驚きは・・・それは、サヴォワのワインにあった。

前述のように、ワイン産地としては“ジュラ”とひとまとめにして扱われてしまうことの多い“サヴォワ”だが、この二つの産地のワインは、全くといっていいほど別物であり、その品種もスタイルも、大きく異なる。

それに、やはり冷涼な気候のように思われがちなため、白もかなりスッキリした、若飲みタイプのものが多いように思ってしまうが、なかなかどうして、実にふっくらとした厚みがあり、白も熟成を重ねて味わいを増すといったようなタイプのものも多い。 先ほどふれたレストランは、実はワインリストもとんでもない。サヴォワのワインがこれだけそろう店も、まずないだろう。今回、地の魚に合わせて“ルーセット”の2001年を頼んだが、見事な色合い、ふっくらと熟成を重ねた、深い味わい、そして何より、アルコール感のあるサヴォワ・ワインのポテンシャルに、改めて驚かされた。 また、白に限らず、サヴォワの赤として名高い“モンドゥーズ”などは、5~10年の熟成を経て、ようやく開いてくるといった、長熟のワインでもある。それは、下手なボルドーやブルゴーニュなどでは到底及ばない、高いポテンシャルの持ち主でもある。

この店のワインリストは、ひとえにソムリエたるマダムの息子さんの手腕にかかるところが大きい。実は彼も、いわゆる自然派ワインに魅せられた一人で、そのきっかけはローヌの自然派として知られる、とある日本人が手がけたワインであったという。 「彼に会ってみたいんだけど、まだ、そのチャンスがないんだよ・・・」 そう語りながら、1本の赤ワインを開けてくれた。それはその“憧れの日本人”のワインである。やさしい味わいが何より魅力のこの手のワインは、それこそ食事を選ばないといってもいい。

私たちも、そして何より彼が、飲みながらついつい肯いてしまったのだが、いやはや何より、このサヴォワの地でローヌのワインを飲むことになるとは、やはり“いいものは時代と空間を越える”とは、真実だったのだろうか。

知る人ぞ知る、サヴォワの名店・・・いいものは、どこにでも眠っているのだということが、今回の旅での、一番の驚きだったのかもしれない。

Thursday 3 May 2007

Metro、地下鉄の乗客たち

パリの地下鉄は「Metro(メトロ)」と呼ばれ、東京でいえば山手線の内側に収まってしまう程度の小さなパリを、東西南北に1号線から14号線までがそれこそ網の目のように走っている。ちなみに1号線は第3回パリ万博に合わせて1900年に開通され、既に100年以上の歴史を誇るのだそうだ。

有名なアールヌーボー調の駅の入り口が現在でも残るメトロは、パリのイメージに欠かせない存在でもあり、映画やCMなどにも度々登場している。記憶に新しいところでは「アメリ(Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain)」。実は、映画に使われた駅は、それこそ「シネマ」という愛称を持つ、実際には使われていない廃ホームなのだそうだ。

さて、皆さんが既にご存知であろう話しはさて置き、今日はメトロの様々な乗客たちをご紹介してみようと思う。

まずは、乗車するまでに出会う人たち。駅の大小に関わらず、ホームに着くまでの通路では、様々な音楽家達が活動している。彼らは「パリ市交通営団 (RATP)」の厳選なる審査(コンクール)を通過し、公式に活動の許可を得ている。芸術に関しては、より寛容なこの国のことゆえ、思い思いに足を止め「チャリン!」と鑑賞料!?(コイン)を落としていく人も少なくはない。

そして車内には、人に限らず犬が多いのもパリらしく、こちらに来たばかりの私には大変印象的だった。本来であれば、動物は移動用の籠に収まるサイズの小型動物のみ、それも人と同様に切符を買って乗車する・・・というのが原則だけれど、お構いなしの飼い主たちは、鎖に繋がれてこそいるとは言え、犬を伴っていとも平然と乗り込んでくる。犬たちはといえば、ごろんと足元に寝そべって、メトロに怯える様子もないからやはり慣れているのだろう。

次に、車内で活動する人たち。楽器を演奏する人、歌う人、人形劇を始める人、そして自身の窮乏を朗々と語る人・・・

「調律」なんてことは忘れられて久しいヴァイオリンを奏でる人、エリック・クラプトンばりのギタリスト、中南米からはインカの香り、アコーディオンで懐かしのシャンソン・・・  忘れられないのは、自身の困難、失業→路上生活→家族を養う難しさ・・・を涙ながらに訴えて、車内をひっそりと静まり返らせた人。

活動する人たちの目的はもちろんひとつ、車内を回って、小銭、メトロの切符、タバコ・・・なんでもござれを頂戴すること。同調して下さる方はどうぞお気持ちを・・・と言った感じで。そんな彼らが、最初と最後にきちんとご挨拶を忘れないのは、こちらの文化、いや習慣なのだろうか?

余談になるが、メトロの中には地上を走る区間のある線が幾つかあり、例えば私の利用している6番線もそのひとつ。セーヌ川を渡るその瞬間、あのエッフェル塔が素敵な姿を現す。不思議なもので、その姿を確認するかのように、乗客たちは必ずちらっと顔を上げる。私もそのひとりであるのはもちろんのこと。

Friday 27 April 2007

Dégustation Samedi 28 Avril 2007,  

今週は、リリースされたばかりのMoët & Chandon 社のvintage 2000より、Brut, Roséをそれぞれご試飲頂く予定でおります。

また、シャンパンは苦手という方には、Alsace地方より下記のワインもお楽しみ頂く 予定でおりますので、是非お気軽にお立ち寄り下さいませ!

Blancs :

Pinot gris 2004 Domaine du Windmuehl Riesling, Le Kottabe 2004 Domaine Josmeyer

Rouges :

Pinot noir 2004 Domaine Albert Mann Pinot noir, « E » 2005 Domaine André Osterstag

Monday 16 April 2007

ブルターニュ食紀行 その2 <バターにまつわるエトセトラ>

ブルターニュ名物の“ウマイモノ”を思い浮かべてみると、どれもバターを使ったものが多いことに気付く。確かにお隣のノルマンディ地方も乳製品は有名だけど、そちらはむしろ、カマンベールやリヴァロ、ポン・レベックといったチーズの方が名産。バターはやはり、ブルターニュのお家芸だろう。

よく「醤油を使わずに和食は成り立たない」というが、それと同様に「バターを使わないフランス料理などありえない」とまでいわれる程だから、その消費量といったらない。確かに南仏ではオリーブ・オイルが一般的だから、北へ上るほど、バター率が高くなるといえそうである。

そんなフランスにおいて、バターは大きく2つの種類に分かれる。一つは“demi-sel(ドゥミ・セル)”と呼ばれる有塩バターで、普通に料理をする際に使われる、一般的なもの。そしてもう一つは“deux(ドゥー)”と呼ばれる、いわゆる無塩バター。こちらはお菓子などを作るときに使われるようである。

恐らく作る過程で、もしくは保存の関係で、バターには伝統的に塩を入れていたのであろう。それが技術の進歩や、お菓子への需要などから、無塩のものが作られるようになったと思われる。確かに無塩のものは、有塩のものより賞味期限が短いようだ。

しかし、バター天国のブルターニュでは、お菓子にも有塩バターを使ったものが多い。 周りを海に囲まれ、塩も特産とされているせいだろうか、ブルターニュの有塩バターは、濃さがあってクリーミーなところに、ミネラルの程よくきいた塩の味わいが、かなり絶妙である。それがまたお菓子の甘さと混ざり合うと、その塩味がまさにアクセントとなり、 味わいに奥行きを作り出してくれる。もう、思わず微笑んでしまうしかない。

そんなブルターニュの、バターを使った名産品たちを、ちょっと紹介してみよう。

○バターの味わい、いろいろ

まずは、バターそのものから。ノルマンディとの境界に当たるといわれるSaint Malo(サン・マロ)は、海と城壁に囲まれた町である。その城壁に囲まれた旧市街の中に、知る人ぞ知る、有名な乳製品の店がある。

もちろんチーズも扱っているのだが、ここのウリはなんといってもバター。パリをはじめ、いくつもの星付きレストランが御用達にしているらしいここのバターは、シンプルな“demi-sel(有塩)”や“deux(無塩)”はもちろんのこと、海藻やスパイスを混ぜ込んだものなど、バラエティに富んでいる。白身魚を、この海藻入りバターでムニエルにするというのも、どちらかの星付きの一皿だとか。スパイス入りのものも、様々な料理にアレンジできる。

店内のショーケースには、大きなバターの塊が! 「どうやって買うの?」と思っていると、お店の人は「何グラム? 250でいい?」なんてきいて訊いてきてくれる。言われるままに「はい !」というと、お店の人はおもむろに、その大きな塊から木ベラで手際よく取り分けたかと思うと、馴れたて手つきで2本の木ベラを使って、直方体のいわゆるスーパーに並ぶバターの形に整えていく。最後は紙で包んで出来上がり。この手際が、見ているだけでも面白い。(しかも、安い!)

単にパンにつけて食べてもいいが、このところ出始めた春の野菜たち、特に鞘から剥きたてのグリーンピースなどをさっと茹でて、このバターでシンプルにソテーしていただくのも、かなりウマい。塩など全く加えなくても、それだけで楽しい一品となり、食卓が華やぐ。   贅沢をする必要はないが、日常消費するものにちょっとこだわると、テーブルが全く別物になるというのも、フランスの楽しみ方の一つである。

○塩バターキャラメル(Caramel au beurre salé)の可能性

バターを使ったブルターニュの名産といってまず思いつくのは、この「塩バターキャラメル」だろう。様子は、いわゆる日本のキャラメルに似たものだが、味わいは全く違う。

まずバターがおいしい上に、それをカラメル化させて甘みをつけることで、しょっぱさと甘さとほろ苦さが、口の中いっぱいに広がる。しかも、それほど噛まずとも、自然とトロけてしまうような滑らかさ。まさに「やめられない、とまらない」といった、後を引く味なのである。

しかしもっと驚きなのは、このキャラメルに秘められた可能性である。今回めぐり合ったのは、まずは「アイスクリーム」。単なるヴァニラアイスに、この塩バターキャラメルが混ざっているだけのものなのだが、そもそもヴァニラアイス自体が、日本とは比べ物にならないほどおいしい上に、このキャラメルである。海風がちょっと肌寒い時期だったが、それでもこんなアイスクリームなら、いつでも楽しめてしまう。

他にも、クレープにとろけたキャラメルと生クリームをタップリかけた、それこそブルターニュのスペシャルな一品もあった。後ほど話すが、クレープもブルターニュの名物であり、かなり大きく見えても、ペロッと食べきってしまうので、後がちょっとこわいような気がしてしまうのだが…でも、これも至福のときである。

○そば粉のクレープ

日本では、クレープというと“お菓子”の部類に入るだろうが、フランスでは立派な食事となる。これもブルターニュの名物で、日本と違うところは、そば粉を使っているということだ。

やはり万国共通、寒いところでは“そば”が栽培され、人々の糧となってきた。ここブルターニュも寒冷地で、よって“そば”を上手に活かした食べ物が発展してきた。

今や、パリでもあちこちで見かける、この“そば粉のクレープ”。比較的、スローフード志向のフランスにあって、結構人気の高いファーストフードなのである。

一般的なのは、ベーコンやハムなどとチーズ、目玉焼きの組み合わせ。チーズのおかげで、結構お腹にたまる食事となる。

「でも、バターとのつながりは?」と、疑問に思われている方もあるだろうが、このクレープを焼くにも、やはりバターが大活躍。カリッとした焼き目をつけるには、どうしてもはずせないものとなっている。

○クイニイ・アマン

一時期日本でもブームを起こしたお菓子といえば、この「クイニイ・アマン」だろう。パイ生地を広げるのではなく、筒状にクルクル巻いてから輪切りにし、オーブンで焼いたこのお菓子は、まさにバターが欠かせない。

さくっとしながらもしっとりしたところもあり、何より表面の砂糖とバターの塩味が程よくマッチ。かなりカロリーの高そうなお菓子だが、すぐにペロッといけてしまう。これもこわい。

また、ブルターニュの名物お菓子としては、その名も「gateau de Bretagne(ブルターニュのお菓子)」という、中にプルーンなどのフルーツが入った、柔らかい焼き菓子もある。これにもバターは欠かせない。

このように、食事にお菓子にと、かなり大活躍しているバター。それはまさに、ブルターニュの食生活には、切っても切れない、重要な食文化の担い手なのでもあった。

Friday 13 April 2007

Dégustation Samedi 14 Avril 2007,  

今週はジュラ・サヴォワ地方より、下記のワインをお楽しみ頂く予定です。

Les Blancs : Arbois Pupillin, Chardonnay 2002 Domaine Overnoy Chignin Bergeron 2004 Domaine Gilles Berlioz

Les Rouges : Arbois Trousseau 2004 Domaine Stephane Tissot Mondeuse, Cuvee Guillaume Charles 2002 Domaine G.Bouvet

週末もお天気に恵まれそうです、お出掛けのついでに是非お立ち寄り下さい!

Friday 6 April 2007

Dégustation Samedi 7 Avril 2007,

今週はラングドック地方より、赤・白2種ずつをお楽しみ頂く予定でおります。太陽一杯の土地ならではのワイン達を是非お楽しみ下さい!

Friday 16 March 2007

Bacchanales 2007, セール&テイスティング!!

3月15日、木曜日より弊店恒例の Bacchanales (バッカス祭→ワインセール)を開催致します。お馴染みの商品から、新顔まで様々に取り揃えたワインたちをご試飲頂いた上で、ご購入頂けます。

是非この機会をご利用下さい!

Digestif の薦め、Calvadosはいかが?

食後酒を嗜むというのは、日本ではまだ馴染みの少ない習慣であろう。その一番の理由は、比較的あっさりとした脂分の少ない和食には、主に消化を助ける目的で、アルコール度の非常に高い酒を飲む必要がないから?だろう。

フランスには、所謂食後酒の扱いとなる「蒸留酒」として、代表的なものに、葡萄から作られるCognac(コニャック)、Armagnac(アルマニャック)、りんごから作られるCalvados(カルヴァドス)があり、更に葡萄やりんご以外の果物から作られる「白い」蒸留酒といわれるものもある。これらは総称してEaux-de-Vie「命の水」と呼ばれ、そもそもは薬のように用いられていたものだが、「命を永らえる力がある」として、13世紀ごろからそう呼ばれるようになったのだとか。

この「命の水」、私も食後にほんの少し頂くことがある。少しずつ色々と試しては、研究に余念がない日々だが・・・なかでも最近気になっているカルヴァドスにかこつけて、先日は、ノルマンディー、ブルターニュ地方を訪れてみた。そして思いがけず「りんご」の世界に大いなる発見をすることが出来たというわけ。

まず、Calvadosには、Calvados Domfrontais, Calvados du Pays d’Augeそして Calvadosと3つのAppelation(原産地呼称)があるということ。それぞれの大きな違いは、使用するリンゴと洋梨の比率の違い。つまり・・・カルヴァドス=シードルから作られる蒸留酒とばかり思っていたものは、アペラシオン(産地)によって、洋梨を加えることが可能で、その比率は更に産地ごとに違い、Pays d’Auge では最大15%まで、そして Domfrontaisに至っては最大70%まで洋梨の混醸が可能なのだそうだ。

その結果、風味の違いはというと、洋梨が加わることによって、カルヴァドスはより繊細で、口当たりが柔らかくなる。その違いはシードル(リンゴの発泡酒)とポワレ(洋ナシの発泡酒)という蒸留する前の段階でも歴然としていて、甘味も余韻もより繊細なポワレを蒸留すれば、当然の違いだろうと思われる。   Domfrontais で私達が訪れた作り手は、最大の70%迄洋梨を加え、更にアルコール度数は40度(カルヴァドスとして認められるのは、40~45度。)に抑えることで、単なる「アルコール」としてではなく、最大限に繊細な味わいに仕上げている。250本から300本近いリンゴと洋梨の木を持つ彼らの広大な土地を散歩して、乳牛たちの声を聞き、古いカーヴでカルヴァドスのあれこれを教わって、そして彼らの自宅の居間でご馳走になった6年ものから100年もののカルヴァドスは、どれを大変柔らかく、香り深く、あまいのが印象的だった。

皆さんも、食後酒など試してみませんか?

Friday 9 March 2007

Dégustation Samedi 10 Mars 2007,  

今週は各地より、シャンパンにも負けぬ「泡もの」たちをお楽しみ頂く予定でおります。

SYDRE Eric Bordelet

CLAIRETTE DE DIE Monge Granon

CREMANT DE BOURGOGNE Domaine Vitteaut Auberti

VOUVRAY PETILLANT 2000  Domaine Huet

是非お気軽にお越し下さい!

Friday 2 March 2007

今週土曜日はいままでにない、異色の顔ぶれを予定しております。

リキュール LIQUEUR DE PAIN D’EPICE Distillerie Miclo

シェリー JEREZ SEC Tio Pepe

イタリア、甘口ワイン DINDARELLO MACULAN 2003 Veneto Muscato

ウィスキー PRESTONFIELD Blended Scotch Whisky SA

を試飲頂く予定でおります。是非お気軽にお立ち寄り下さい!!

Thursday 1 March 2007

ブルターニュ食紀行 その1 <海辺の牡蠣三昧>

ブルターニュといえば、フランスでも有数の牡蠣の産地でもある。中でも、湾の対岸にモン・サン・ミッシェルを臨むこの「カンカル」は、牡蠣の養殖で有名な町だ。 海岸沿いには、牡蠣をはじめとする魚介の店や、同じくブルターニュ名物の「そば粉のクレープ」の店などが軒を連ねるが、やはり何といっても、牡蠣をいっぱいに並べた直売の屋台・・・「マルシェ・オー・ユイットル」を素通りすることはできない。 実は、今回ですでに数回を数える「カンカル行」なのだが、そのたびごとにここで牡蠣を買い、その場で開けてもらっては、レモンを絞ってガンガン食べる。ここだけの話、値段もパリの半額程度で、その上新鮮な(?)牡蠣を食べられるのだから、むしろこのためだけに来ているともいえなくもない。

ところで、日本は、どこへ行っても海があるといっても過言ではない。周りを海に囲まれている小さな島国・日本では、海の幸を味わうのにそれほど苦労することもないし、それほど高いお金を払う必要もない。 だが、むしろその分、海の幸の加工技術も進んでいるといえるだろう。今では、どこの町のスーパーでも、パックに入った「生食用牡蠣」といったものに、よく出会う。 かつて私が子供だった頃(それほど昔でもない・・・念のため)、いつも近くに、貝類を売る屋台のおじさんがやってきていたのを思い出す。アサリやシジミ、剥いた牡蠣などが、大きなバットに並べられ、それこそ透明のビニール袋にいっぱい詰めても2~300円ほどで買えた時代である。 もちろんそんな牡蠣は生では食べないが、フライにしたり鍋にしたりと、結構楽しめた。そういえばその頃、生牡蠣などほとんど口にしなかったように思う。我が家の食環境によるところもあっただろうが、それでも火の入った牡蠣の方が、身近な存在だった。 しかし、今では日本のあちこちで「生牡蠣」を楽しむ傾向にあるように思う。ちょっとしたチェーンの居酒屋でも、「生牡蠣3個で○○円」といった具合でメニューに載せられ、牡蠣を生食する機会も珍しくなくなってきているようだ。

それに対してフランスは、陸に対する海岸線の割合が、かなり低い。大まかに正五角形で描かれるその国土は、その五辺のうちの2辺と半分が海に面しているものの、残りは地続きの国境となる。日本の国土より圧倒的な広さを誇り、その大部分が農業地や酪農地で占められるこの国では、よって新鮮な海の幸を毎日のように安価で手に入れることは、かなり難しい。 だからこそ逆に、フランス人の「生食願望」というものは、日本人より強いようにも思える。フランス人にとっては「和食=寿司・刺身」といった、かなり限定されたイメージがあるようだが、その裏にあるのは「ヘルシー志向」というものだけではないように思う。「魚介類を生で食する」ことに対する憧れのようなものが、そこには潜んでいるのではないだろうか。

そんなフランスでは、牡蠣は基本的に生で食するものである。パリでも「フリュイ・ド・メール(=海のフルーツ・貝類や甲殻類の総称)」を売りにしているカフェはあちこちに見られ、店先には牡蠣やゆでた海老、ムール貝などが所狭しと並べられている。客の注文に応じて牡蠣開け職人が腕を揮い、見た目も大きな「プラトー(=大皿盛り)」ができあがる。人々はミュスカデ(ロワールの白ワイン)などを片手に、ダース、半ダース単位で売られる牡蠣に、舌鼓をうつ。 驚くことに、牡蠣だけでなく、ムール貝やアマンド(=アーモンド)と呼ばれる貝なども、ここでは生で食べられている。もちろんレモンやビネガーを加えて、消毒を兼ねるシンプルな「味付け」はするものの、日本人的にはどことなく危機を感じてしまう瞬間である。私など、こういう店ではついつい白ワインがすすんでしまうのだが、それは生の貝類との絶妙のマリアージュのおかげだけではない・・・。

とはいっても、フランスに来たなら生牡蠣を楽しみたいと思うのが、日本人魂というもの。それもより安く、より安全に(?)、よりおいしい牡蠣を食べるのなら、ここしかないだろう・・・ということで、またもやこのカンカルに足を延ばしてしまったわけだ。

屋台で牡蠣を買い、その場で売り子のお姉さん(?)に開けてもらう(プラス50サンチーム)のだが、季節によっては、開けてはいけないというルールがあるらしい。そんなときは、牡蠣あけナイフだけ借りて、自分たちで開ける。近くにベンチがあるわけでもないので、海岸沿いに座って食べ、食べたそばから殻を浜に捨てていくのがお約束。そこは捨てられた牡蠣の殻でいっぱい、まるで砂浜のようである。 もちろんワインも持参する。今回はちょっと珍しい「発泡ミュスカデ」。牡蠣のミネラル感とあいまって、これまたおいしい。ただ、ひたすら寒いのだけが悩みの種だ。

ここカンカルでは、数種類の牡蠣を売っているが、最も一般的なのは、日本の牡蠣に似たスタイルのもの。それもそのはず、フランスの牡蠣養殖が危機を迎えたとき、種を日本から持ってきたともいわれているのだ。それでも日本のもののようにプリプリと太っていないので、生でいただくのに向いている。それでも「ソヴァージュ(=天然)」なんてのもあり、大きさ、味ともに大満足である。 しかし今回の驚きは、本来のフランスの牡蠣である「ブロン(belon)」だった。丸い形をしたこの牡蠣は、基本的に高めである。それでも大きなブロンにめぐり合えた嬉しさから試してみると、今まで以上にそのうまさを感じた。 このブロンは、平たくて丸いため、中に水がほとんどない。その上わずかに苦味を含みながらも、プリッと甘みもあり、程よい塩分と豊富なミネラルが驚くほどにうまい。初めてブロンの本当のうまさに触れることができたように思う。

その他にも、この地で有名なのが「ピエ・ド・シュヴァル(=馬の足)」と呼ばれる、日本の岩牡蠣のようなタイプのもの。しかしこれは非常に高値で、その上量も少ないので、我々にはそれこそ「高嶺の花」である。 今回もカンカルでの「海辺の牡蠣三昧」は、大満足であった。

なんていっているうちに、どんどんと海が引いていく。あの有名なモン・サン・ミッシェルをはじめ、このあたりの海は比較的遠浅で、海水がどんどん引いていくのが特徴。それを待ち構えていたかのように、牡蠣養殖の人々が集まってきては作業を始める。 来るたびに、この小さな町がフランス有数の牡蠣の産地だということがどことなく信じられないのだが、それでも、この人たちのおかげで、これだけおいしい牡蠣が食べられるのだから、とにかく感謝、感謝である

Friday 23 February 2007

Dégustation Samedi 24 Février 2007,

今週土曜日は南西地方より

白:

BERGERAC SEC CUVEE DES CONTI 2005 Château Tour des Gendres

VIN DE TABLE COUCOU BLANC Domaine Elian Da Ros

赤:

MADIRAN SELECTION TAILLEVENT 2002 Domaine Mouréou et Ducornau

COTES DU MARMANDAIS CHANTE COUCOU 2004 Domaine Elian Da Ros

を試飲頂く予定でおります。お近くにお越しの際には、是非お気軽にお立ち寄り下さい。

Friday 16 February 2007

Dégustation Samedi 17 Février 2007

さて、今週土曜日はロワール地方より

白:

MUSCADET DE SEVRE ET MAINE SUR LIE, AMPHIBOLITE 2004 Domaine de La Louvetrie

MONTLOUIS SUR LOIRE SEC, CLOS DU BREUIL 2004 Domaine François Chidaine

赤:

VIN DE PAYS DE VENDEE, BEL CANTO 2004 Domaine de La Chaume

SAINT NICOLAS DE BOURGUEIL, ECLIPSE 2003 Domaine Fréderic Mabileau

を試飲頂く予定でおります。ムスカデ、シュナン・ブラン、メルローそしてカヴェルネ・フラン。品種も様々に異なるワイン達を、是非お楽しみ下さい。